
(アラーム音) ”緊急地震速報です”

(地震)(悲鳴)(鳴き声)

“余震が続く”

“そして情報がない”

携帯電話にTV機能があるが、電池を温存したいので使えない

情報源は近くで音量の高いラジオ

“こういう時はラジオが便利だな”

“そろそろ横になるか”

“…”

“寒い!”

体育館の床に寝るのはとても寒い! 背中から体温が全部奪われる
(足は伸ばせず)

“もともと僕は寒がりなので非常につらい”

“余震!?”

“自分の鼓動か!”

“もしかして全部夢か?”

“そんなわけないか”

“志津川では病院の3階まで津波が到達しました”(ラジオ)

“津波が3階まで? 何が起きているんだ? ここも酷いが他の場所も酷いのか?”

“もう日本沈没だ”

“さすがに日本沈没はないだろう。 しかし人生が終わる可能性はあるかも?”

僕は情報から遮断され色々なことを考えた…

僕はこれまでの人生を振り返った…

“けっこう頑張った。 いろいろな経験をした。 いろいろな場所に行った。”

“そして、いろいろな人に出会った。 みんな無事だといいな”

“そして…もう少しで夢に手が届いたかな? 昼間はその作業をしていたのに。 何が起きるか分からないものだ”

“良い人生だった”
僕の人生(完)

(騒音)

“子供が泣くのは仕方ない。 大人でも厳しい状況だ。 赤ちゃんの泣き声には生命力を感じる。”

“そろそろ眠る時間か? まったく静かにならないけど”

“…”

“寒くて眠れない”

“眠れなくてもいいか”

“さて、人生がここで終わりでないとして、これからどうしよう?”

“PC関連は壊れたかも。 これは厳しい”

“家も持ち物もめちゃくちゃ。 考えると気が遠くなる”

“…”

“でも意外に前向きな気分だ。もともと大して何も持ってないし”

“命があって良かった。それにアイデアはすべて頭の中にある”

“…”

”できるだけ早く復帰してみせる!”

状況は最悪だったが、全てがリセットされたような気分もあった

そして基本的に前向きな性格も奏功した

しかし、ここから長い闘いが始まることになる

つづく